こんにちは。名古屋オーシャンズフットサルスクール大府校コーチの木村です。
生徒のグッドプレーから上達のヒントを探るシリーズの第3弾を公開しました。
今回は選抜チームでも活躍するトッタのプレーを解説しました。
「フットサルは騙し合い」
という本質的な部分を思い出せてくれると思います。
ある意味日本人が苦手とするところなので、是非参考にしてください。
さてスクールのコーチをしているとおかげさまで色々なサッカーチームの選手が入ってきてくれます。
色々なチームに所属する子供達のプレーを見て共通する部分を感じることがあります。
その中の1つが「ボールを持っていない時のプレーの判断基準がない」ということです。
所属チームを批判したいのではありません。
それぞれのチーム、指導者に考え方があって当然です。
みんな一緒では面白くありません。
私がボールを持っていない時のプレーを教えるのに費やしている時間を他のことに使っているだけのことです(例えばリフティングなど)。
しかし「いつ?」「何を?」「どうゆう順番で?」指導を構築していくのかは、とても重要ですし、指導者の色が出る部分だと思います。
最終的にどんなチームでの活躍できる選手を育成したいという思いは、全ての指導者に共通する部分だと思っています。
さてここからは私の指導に関する考え方を説明したいと思います。
いつも言っていますが、選手である子供と保護者、指導者の三者のベクトルが合った時に選手の成長は最大化できると思っています。
ややこしいですが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
まず当スクールのHPを開くと一番最初に目に写る部分に下記のような文言があります。
素晴らしい言葉ですね。
小学生年代は神経系が発達する時期ですし、脳の発育・発達を考えても「他者との関わり」は未熟ですよね。
そう考えると4人5人が関わるチーム戦術を主題にして育成するのは、得策ではないと思います(全体像のイメージを掴むことはめちゃくちゃ大切ですが)。
またスクールの特性上、それぞれが所属チームで、もしくは将来所属するチームで活躍することが目標であることを考えても『チームの強化<<<個人の育成』だと思います。
次に私が考える「個」とは何か?について説明したいと思います。
個の能力というと一番わかりやすいのは「ドリブル」や「シュート」でしょうか。
もちろんこれも個の能力なのですが、あくまでほんの一部だと考えています。
私が考える個の能力は『個人戦術』のことを指します。
上記のドリブルやシュートは個人技術であり、個人戦術を実行するための1つの武器です。
戦術とは大仰なものではなく、単純に『戦う術』『勝つための術』だと思っています。
当然そこには”敵”の存在が存在し、色々な武器を適切に使いながら相手を上回らないといけません。
個人戦術とは、1人で実行する戦術のことです。
ややこしいですね…。
私も個人戦術とは何か?という定義がしっかり出来たのは、実は最近です。
(コロナの休校期間に考えて考えてやっと納得できる答えに辿り着きました)
私は個人戦術を下記のように定義しました。
”私は”と書いていますが、別に私が考案したオリジナルな考え方ではありません。
ですが、このように定義できたことで、指導の質はグッと上がりました。
どんな分野でも教育は「何を言うか」以上に「何を言わないか」が大切だと思います。
未熟で当然な子供達に一度に全てを伝えようとすると一瞬で情報過多になって今います。
そう言った意味で、小学生年代では『個人戦術』を指導するべきであり、個人戦術とは『「ボールありの1対1の攻守」「ボール無しの1対1の攻守」「2対1の攻守」の3つの場面で相手を上回るために必要なスキル』と、はっきりと定義できたことで、生徒達が今必要なことを効率よく指導できるようになりました。
「育成はリレーションシップである」
おそらくこの言葉を最初に聞いたのは、当時の名古屋オーシャンズトップチーム監督であるビクトル氏からだったと思います。
その後、サッカー・フットサルの指導者ライセンスの講習でも同じ言葉を聞きました。
つまり育成とは、下の年代から大人になるまで、色々な指導者が関わって選手達を育てていくものであり、指導者は選手の1つの大事な期間を預からせてもらっているという考え方です。
(陸上のリレーのようにバトンを次の走者(指導者)に渡していくというイメージです)
この考え方でいくと、特殊な尖った指導ではなく、子供達の各年代で”その時”に必要なことを指導してあげることが、大切と言うことになります。
また上記の通り、スクールの特性を考えても私の考えを押し付けて、私の好みの選手に育てても所属チームに帰って活躍できるかはわかりません。
そうなると大切なのは「どのチームでもどのポジションでも活躍できる選手を育成する」と言うのは、とても大切なことだと考えています。
そしてだからこそ『個人戦術』を育むことが大切だと言う結論にもなります。
先日サッカーのチャンピオンズリーグの決勝がありましたね。
私の大好きなバルセロナを粉砕したバイエルンが優勝しました。
全員攻撃・全員守備というのは、私が子供の頃からある言葉です。
ですがつい最近までは守備を免除される選手がいたり、攻撃に関与しない(期待されない)選手がいたりするのが当たり前になりました。
ですが、そのような時代もついに本格的に終わりそうです。
メッシでさえ守備をしないことによるデメリットが、メリットを駆逐してしまうことがここ最近のチャンピオンズリーグの派手な敗退の仕方で証明されてしまっています。
そうなると育成年代から攻撃と守備の基本を教えていかなければいけません。
戦術とはつまり相手との駆け引きです。
例えばボールを持っていない選手を守る時(マークする時)。
基本となるポジショニングを理解することは誰でもできます。
しかし「色々な状況を見ながら、細かくポジションや体の向き、重心の掛け方を修正して、裏を取られないようにしながら、積極的にインターセプトを狙っていく」というのは、経験を重ねていかないとできません。
頭で理解することは出来ていて当然で、その上で自らがトライ&エラーを繰り返しながら自分に合ったポジショニングを体得していきます。
フォワードばかりをやってきて、攻撃しか頭になかった選手が、大人になってから急に「CBへのリターンパスを切りながらSBにプレッシャーを掛けて!でもSBにドリブルで前に運ばれるのもダメだよ」と言われて、実践できるでしょうか?
今の子供達が大人になる頃には、攻撃と守備の色々な場面で活躍できることが”当たり前に”要求される時代になると思います。
そしてそれはフットサルでも同じです。
サッカー選手が11人でやるタスクをを5人で役割分担して実行するのがフットサルだと考えると、元々フットサル選手はサッカー選手以上に万能でポリバレントな能力が求められ、鍛えられるという側面はありました。
今後サッカー選手にもポリバレントさが求まれる時代になったことから、育成年代におけるフットサルの価値がさらに高まっていくと私は思っています。
小学生年代から個人戦術を理解し、トライ&エラーで磨き上げていかなければサッカーでもフットサルでも到底通用しなくなっていくでしょう。
今まではわかりやすくお伝えするために「小学生年代」という言葉を使ってきましたが、私はU-11(小学5年生)までに個人戦術は一通りマスターして欲しいと思っています。
細かい理由は省きますが、過去の経験から考えても十分に達成可能な目標であり、U-12からは次の課題に取り組むべきだと思っています。
ただし5年生までにというのはあくまで基準に過ぎません。
フィジカル的にもメンタル的にも発育段階には±2年の差があると言われています。
例えば同じ5年生でもフィジカル的に3年生の発達段階の子もいれば、中学1年生の子もいると言うことです。
メンタル的にも同じなので戦術理解にも当然差があります。
幼稚園からサッカーをやっている子と高学年になってから習い始めた子もいることを考えると尚更”5年生までに”と言うことにこだわる意味は薄くなります。
ただ1つの指標としてU-11(5年生)までに個人戦術をマスターできるように、トレーニング計画を組んでいます。
繰り返しになりますが、子供達はスクールの紅白戦ではなく所属しているサッカーチームで、もしくはオーシャンズの選抜チームで活躍すること。
または今チームに所属していなくても中学生になった時に部活で活躍することが短期または中期の目標であり、長期の「プロのフットサル・サッカー選手になる」というような目標の達成に近づきます。
そのためにはどんな特徴のチームでもどこのポジションでもどんな試合展開でもチームの役に立てる選手にならねければいけません。
またチームを指導している経験から考えてみても、どれだけうちの特徴に合わせて選手を育成しても、思ったような展開にならない試合の方が多いので、結局頼りになるのは『個人戦術のレベルが高い選手』になります。
早くからチームの中の役割やポジションに特化するメリットもありますが、FCバルセロナで育った選手よりもレアルマドリーで育った選手が他チームでも活躍しやすいという現状しかり、近未来のサッカー像しかり、特化するメリットは年々少なくなっていると思っています。
個人戦術が高い選手はどこのチームでも重宝され、試合に出る機会が増え、結果経験値も貯まりやすくなるのではないか?というのが私の考えです。
ここまで読んで頂くと、私のスクールは全ての生徒に画一的な指導をしているような印象を持たれるかもしれません。
しかし内状は全く逆です。
なぜなら子供それぞれが自信を持てるように長所から育てていった方が、結果的に短所を克服するのも早いという風に私が考えているからです。
指導者あるあるだと思いますが、選手が1つのことに自信が持てると色々なことが一気にできるようななることが良くあります。
これはプレーに関するメンタルの影響どの高さを示す事例でもあります。
例えばドリブルが得意で全然パスを出さない生徒がいたとします。
そう言った生徒には
「〇〇がドリブルが得意なことはわかってる。そしてそれは素晴らしいことだとコーチも思う。でも〇〇の才能はドリブルだけにあるわけじゃないともコーチは思う。
DFを2人引きつけて味方にパスするような賢いプレーも○○には出来ると思うよ。
チャレンジしてみたら?」
と言う風に話します。
実際に「ドリブルだけ」「パスだけ」しか出来ない選手はいないと思っていて、上手にボールを扱えて相手との駆け引きが出来る選手なのであれば、ドリブルもパスも上手に使い分けれると考えています。
なので得意なことから伸ばしていきつつ、出来ることの範囲を広げていって、5年生を目安の色々なことができる選手の育成を目指しています。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
オーシャンズスクールに通ってくれるからには、子供1人1人の成長スピードを加速させルコと、次のステージにいっても活躍できる下地を作ることを意識して毎日指導しています。
今後ともよろしくお願いいたします。
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